福祉の街 社長ブログ

改めて地域包括ケアシステムを考える②

 

地域包括ケアシステムについて、今回は「地域包括ケア研究会」で検討されてきた内容を中心に、介護(専門職・事業者)の立場から概念整理をしたい。

 

【地域包括ケアの4つの層】

地域包括ケアシステムは「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するため、医療や介護、予防のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」と定義される。

その上で、地域包括ケアシステムは4つの層(領域)に分けられる。

第一層は中重度者の介護である。主に要介護4ないし5の方が対象で、数的にはそう多くはなく、また入院・入所されているケースも多いことから、居宅における利用者は限られている。しかし、介護のプロフェッショナルが関わる領域であり、地域包括ケアシステムにおけるコア部分にあたる。医療・看護と介護の連携がテーマとなる。

第二層は要介護者の悪化予防で、主たる対象者は要介護1~3となる。ここでの予防は生活リハビリテーションであり、介護職は理学療法士などのリハビリテーション専門職と連携をし、日常の中での機能訓練を自ら行えるようになることが必要となる。

第三層は高齢者のフレイル(虚弱化)予防の領域であり、ボランティアの活用や街づくりと密接に関わっている。

第四層は認知症の方の見守りなどを含む地域づくりがテーマとなる。

 

大ぐくりに言うと、第一、第二層は共助・公助が、第三、第四層は自助・互助が主となる。介護の立場からすると、第一、二層が地域包括ケアシステムにおける主たる対象となり、第三、四層に対しては部分的・支援的関りないしは住民の立場からの関りの対象になると考える。従って、今回は第一~二層を中心について整理したい。

 

【キーワードは連携、三つの場面とレベル】

前回の繰り返しになるが、地域包括ケアシステムでは、本人のニーズに応じた適切なサービスが高齢者からみて一体的かつ途切れることなく継続的に提供されることが必要であり、そのためには、医療と介護をはじめ多様な関係機関そして多職種が「連携」することが求められる。

 ところが「連携」という言葉は、往々にしてその解釈と使われ方が人により区々で、話がかみ合わないことも多い。「連携」の定義は大変重要であり、地域包括ケアシステムでは3つの場面と3つのレベルに定義されている。

(3つの場面) 

 ・入退院の場面

 ・在宅の日常生活の場面(在宅療養時)

 ・看取りの場面

  それに急変時の場面が加わる。

(3つのレベル)

・連携~必要な時に必要なサービスをつなぐ。

・協調~組織間の連携が強く、また構造化された状態であり、多様な職種が統一したケアの考え方を共有し、退院支援のためのルールなどが定められている。

・統合~必要なサービス資源が統合されている状態であり、特定のニーズをもった利用者を対象とした一体的・包括的なサービス提供体制などが該当する。

  国は2040年までに、協調または統合レベルの連携を目指すべきとしている。

 

  例えば、厚労省では平成28年度老健事業による「入退院時におけるケアマネジャー医療機関等との連携・情報収集の手引き」を示している。これを基に一部都道府県や市町村では「在宅医療介護連携ハンドブック」「在宅療養支援ガイドライン」「退院支援マニュアル」と表する連携の標準ガイドラインを出している。これは、入退院場面で協調レベルの連携を求めるものである。医療側も在宅医療を3つの場面で整理しており、医療側と話しをする際にも、このことをきちんと頭に入れておく必要である。

(埼玉県 入退院支援ルール標準例より)


【大切な規範的統合と臨床的統合】

 ところで医療と介護、多職種が連携を図り、チームとして地域包括ケアシステムに取り組んでいくには共通のビジョンや考え方が必要である。それを地域包括ケアシステムの中では「規範的統合」と呼ぶ。例えば「要介護4,5になっても在宅で暮らせる地域づくり」というようものであるが、規範的統合は地域レベルだけでなく、行政、事業者、ケアチーム、プロジェクト各々の場面で必要であると考える。

一方、実際に地域包括ケアシステムを動かしていくためには、臨床レベルで、共通のルールやアセスメント、評価軸といったようなものが必要である。私は共通言語と言っているが、地域包括ケアシステムの中では「臨床的統合」と言われている。例えば、入退院のガイドラインはまさに「臨床的統合」を目指すものであり、またアセスメントに関して言えば、厚労省の「適切なケアマネジメント手法の策定にむけた調査研究事業」の中で作られている「ケアマンジメントにおけるアセスメント/モニタリング標準化」などがそれに当たる。

 

【最後に】

私は自社内や各々の地域における連携について、3つの場面と3つのレベルから現状を分析し、その上であるべき姿とのギャップ、すなわち課題を洗い出したりしている。この方法がいいかどうか別にして、学んだことを概念や知識や概念でとどめるのではなく、自社や自分に当てはめるなどして自分なりに使ってみて、腹落ちすることが大事であると思ってる。