福祉の街 社長ブログ

ラグビーに見る「ゴール型ゲーム」の本質 ~地域包括ケアのマネジメントに通ずるもの~

 

今月の17日、福祉の街の熊谷営業所に行った。ちょうどラグビーワールドカップ2019開幕前で、街はワールドカップモードであった。

 

ところで、私は6月末でAIの会社を卒業し、7月からセントケアで地域包括ケア推進の仕事に携わっている。17日は熊谷でそれに関する会議があった。こじつける訳ではないが、ラグビーというスポーツは地域包括ケアにおけるマネジメントに通ずるものがあるように思う。私がそう思い始めたのは、このワールドカップ日本開催に尽力したミスターラグビーこと故平尾誠二氏の「マネジメント論」や「リーダシップ論」を知るようになってからである。(以下、ゴシック部分は2003218日、独立行政法人経済産業研究所における平尾誠二氏講演内容を要約

 

野球型ゲームとゴール型ゲーム】

 スポーツには「野球型ゲーム」と「ゴール型ゲーム」がある。「野球型ゲーム」は監督というゲームメーカーがいて、その指示を各選手が忠実にこなすことが求められる。ゲームの進み方も攻守がはっきりしていて先が計算できる。またスピードは比較的ゆっくりしている。一方ラグビーをはじめ「ゴール型ゲーム」は攻守が瞬時に入れ替わる「ターンオーバー」が起こり、選手は監督の指示なしで、その場で瞬時に判断して、次にどういうプレーをするか決断し、実行することが求められる。ひと昔前までは、日本人が得意とする「野球型」のようなゲームが社会やビジネスでも行われていたが、今や「ターンオーバー」が頻繁に起きる時代であり、変化した状況に「個人」がどう判断し、対応していくのか、「個人」の能力が問われる。

 

 「地域包括ケアシステム」に関して言うと・・・それぞれの地域の実情にあった「地域包括ケアシステム」が求められる。従って地域ごとに求められるものは一様ではなく、全国に事業所を置くセントケアにおいて、全国一律の事業の形はあり得ない。またホールディングが監督になって各事業所、各地域に継続的にそれを指示することは不可能である。各個人、少なくとも各事業所、各地域単位で実情を踏まえた地域戦略を練り、実行に移さなければならない。

 

【成熟した個人が前提】

  そのためには、「成熟した個人」が前提であると平尾氏は語っている。

 

「成熟した個人」とはラグビーそのものを非常に好きであること、向上心があることである。そして、そういった成熟した個人を確立するためには、自発性を促し、「(パスの)受け手」として賢くする。このコーチングの指導法をどう作っていくかが、スポーツの世界だけでなく、学校教育の中では必要なことではないかと思う。

 

 私の携わる仕事にあてはめれば、各地域の課題を踏まえ、自分たちの強みを何かを決め、それを実行に移して、成果(お客様の自立支援、重度化防止)を出し、地域に貢献する。その過程で、自己と自己の所属する組織が成長していくことがいかに楽しいことかに気付き、介護という仕事が好きになる。そういった楽しさや自主性を引き出すことが自分の役割ではないかと思う。

 

【パスの出し手と受け手】

そのうえで、平尾氏の言葉で最も興味をもったのは、「受け手」を賢くするという部分である。その通りに理解すれば、パスの出し手の意図を的確に理解し、予測するということであろう。またパスを「情報」に置き換えれば、情報の受け手が溢れる情報をどう賢く取捨選択するかという意味にもなる。更にはパスを「サービス」に置き換えれば、受け手である「お客様」にどう理解・協力してもらうかという意味にもなる。それは「地域包括ケアシステム」の中で言われている「多職種連携」や「介護の支え手と受け手と認識されてがちだった関係性の見直し」に通ずる。(地域包括ケアシステム報告書より)

 

 折しも10月より、専門性のある介護職に対し、更なる処遇改善が図られる。しかし、国はその前提として「処遇の改善のみに焦点をあてるのではなく、プロフェッショナルとして『技術の向上』『生産性の向上』の観点が必要」(地域包括ケアシステム報告書より)と言っている。

 

 当然のことながら、私は「成熟した個人、組織」を育てていくパスの出し手として、受け手がキャッチしやすいパスを出していくことが私のミッションと思っている。同時にパスの受け手である介護の専門職の皆さんが「成熟した個人」を自ら目指していくことを、大いに期待している。

 


平尾 雅司