福祉の街 社長ブログ

AIの価値を決めるのは使う人間側の意識・力量


6月7日、仙台で開催されたケアマネジメント学会で、「ケアマネジメントにおけるAIのあり方」というテーマのワークショップに参加した。白澤政和学会長(国際医療福祉大学教授)が座長で、㈱シーディーアイ(以下CDI)の立場としての私の他、㈱ウェルモの鹿野代表取締役CEO、㈱国際社会経済研究所の浮間主幹研究員がそれぞれAI開発状況を発表し、ケアマネジャーとAIの関係について議論した。

昨年10月にCDIがサービスを開始した頃は、ケアマネジャーのAIに対する警戒感は大きいものがあったが、この半年くらいの間でだいぶ変わってきたように思う。今や「AIやビッグデータ活用は時代の流れであり、AIとどう向き合っていくのか真剣に考える時期。」と思い始めているケアマネジャーも多いのではないだろうか。


(AIの特徴)


 ところでCDIは、高齢者の「自立支援」を目標にAI開発に取り組んできた。ここで言う自立支援は要介護者の心身機能の改善のみを言うのではない。自立支援は高齢者の尊厳保持のためにあり、高齢者の意思に基づいていることが前提である。従ってケアマネジャーには、高齢者自身が意志決定できるよう支援することが求められる。このような中、CDIのAIの特徴は、

・一定のアセスメント項目を入力すると、半年後一年後の心身機能を予測する

・その場合の、提供するサービスの内容と量を示す

・介護度やアセスメント項目間の整合性をチェックし、正確なアセスメントをサポートする

にあり、特に将来予測は高齢者の意志決定支援に有効であるという評価をいただいている。


(AIの活用範囲を決めるのは人間の意識・力量) 


   一方でCDIのAIに対していろいろな批判もいただいており、今後改善すべき課題も多い。また批判ではないが、「AIはケアマネジメントの一部分であるケアプラン作成の、さらにその一部分しかカバーしていない。」という意見をいただく。しかし・・・本当にそうであろうか。

  具体的に考えてみたい。CDIのAIはある地方中核都市のデータに基づいている。介護サービスの資源はそれぞれの地域で当然差があり、それゆえに「他地域のデータに基づくAIは使えない」という意見を少なからずいただく。

しかしAIが提示する介護サービスがその地域になければ、代替できる他のサービスを組み合わせてケアプランを作成することはできる。さら言えば、代替するサービスや機能が無い場合には、それを地域課題としてとらえ、その必要性を地域ケア会議などで提案していくことができる。これはケアマネジャーの本来の役割ではなかろうか。地域ケア会議はあるべき姿を検討し、「現在はないが今後必要なもの」を特定していく場でもあるのだから。事実、6月のケアマネジメント学会でも、「地域包括ケアにむけて、ケアマネジャーは利用者から地域へ視野を広げることも求められる」と関田康慶大会長(東北大学名誉教授)が説いておられる。

このように考えると、AIを高齢者個人のケアプラン作成場面だけではなく、地域ケアマネジメントの場面でも活用することができる。要するに、AIの活用がケアプラン作成の範囲に止まるかどうかは、AIを使う人間側の意識と力量によって決まるのだと思う。


(最後に)


最後に私は先月をもってCDIを退任した。これからは地域包括ケアを現場レベルで推進していく仕事に関わる。

そうなれば今度はAIやビッグデータを使う側となる。今回のブログ内容は、CDI卒業にあたっての総括と、これからの自分自身の課題でもある。


 

平尾雅司