福祉の街 社長ブログ

ロボット化やAI化で人間は何をするのか ~新入職員の季節~

 

ブログもすっかり冬眠してしまったが、今日から4月、新しい職員も入社してくる。これ以上の寝坊は許されまい。

 

冬眠中の3ケ月の間、いろいろな出来事があったが、私が最も関心をもったのが、クロネコヤマトの事である。ヤマト運輸はインターネット通販の拡大と人手不足を背景に、宅配サービスの抜本的な見直しに入った。ネット通販会社など割引料金を適用する大口顧客に対して値上げ交渉に入り、更にドライバーの労働負荷を高めている再配達や夜間の時間帯指定サービスなども見直している。またロボット化も進めており、自動運転技術を実装した配送車を開発し、顧客がいつでも、どこでも荷物を受け取れる「オンデマンド配送サービス」を近々開始するそうである。

 

(AI化やロボット化)

人手不足の問題は介護業界も同じである。介護業界でも、機械化やIT化にとどまらず、介護ロボットやAI(人工知能)の活用が始まっている。

これまで、あらゆる業界・分野で機械化やIT化が進み、人間は肉体労働や事務作業から解放されてきた。そして今やロボット化・AI化が進めば、知的な仕事からも解放される時代である。仕事の生産性が高まり、人手不足が解消されることは喜ばしいことである。

しかしながら、ふと思う。知的な分野からも解放された人間は何をするのだろうかと。そして、人間がロボットやAIよりも創造的な仕事ができなければ、ロボットやAIの給料(すなわちそれに投資する資金の金利や配当)以上に、人間の給料(賃金)は上がらないのではないかと(ピケティー「21世紀の資本」のr>g参照)。本当にそれでいいのだろうか。大きなテーマである

 

総務省が、「人工知能(AI)の活用が一般化する時代に求められる能力として、特に重要だと考えるものは何か」を有識者に対してアンケートしたところ、「業務遂行能力」や「基礎的素養」よりも、「チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質」や「企画発想力や創造性」を挙げる人が多く、「コミュニケーション能力やコーチングなどの対人関係能力」がそれに続く。

 

(人間の仕事)

なりに人間の仕事について考えてみた。

一つ目は、私は人の感情(喜怒哀楽)が人間の仕事の起点になると思っている。勿論感情はそれだけでは創造的な価値をもたないが、悔しさや喜びといったような感情が、その人のチャレンジ精神、主体性、行動力に火をつけ、創造性を引き出す。

二つ目は、「こうありたい」「こうしたい」という目的を決めることである。これは人間の最も重要な仕事である。目的は基本一つである。それ故に、余分な枝葉を落として本質的なことを見極め(=抽象化)、選択するという決断を要する。抽象化と決断は人間にしかできない仕事である。

三つ目は共感である。目的を実現する上で重要な要素である。目的が定まれば目標設定、そして実行の過程に移る。この過程はロボットやAIでもできる。しかし、人間は「他者と共感する」という強みをもっている。共感は周りの人の心を揺らし、動かし、チームとしてより強く目的に向かわせる。これをコミュニケーション能力とか対人関係能力と言う。共感、チームは職員同士だけでなく、職員とお客様やそのご家族との関係においても成り立つ。

米マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「AIが普及した社会で一番希少になるのは、他者に共感する力を持つ人間だ」と強調する。医療の世界で例えれば、「医師の仕事は自動化できたとしても、看護師や介護福祉士などは人が足りない」と指摘、AIでは補えないとみる。*1 私たち、介護業界の者にとっては嬉しい言葉である。

そして、以上の三つをあわせみると、人間の仕事の行きつくところの一つは「マネジメント」ではないか。


*1 2017年1月30日:日本経済新聞「AIと世界」より引用

*2 駒沢大学の井上智洋講師は、AI時代を生きるうえで「creativity(創造性)」「management(経営・管理)」「hospitality(もてなし)」の3つがカギになるとしている。


今日当社グループでも入社式が執り行われ、また新しい社会人が誕生する。新入社員の溌剌としたチャレンジ精神、既成概念に染まっていない発想力、謙虚な気持ち。そういった人間的なものが、ロボット化やAI化が進む時代において、最も求められるのかも知れない。

 

平尾 雅司