福祉の街 社長ブログ

地域金融機関に期待する ~地銀への新たな評価方法導入にあたって~

 

いつしか夏休みの季節に入った。私どもセントケアグループでは、毎年この時期に長期事業計画の合宿を行う。私も先週合宿に参加してきた。合宿では、これから先5年間の事業計画を損益計算書だけでなく、貸借対照表や資金運営・金融計画含めて策定する。

 

(地銀を巡る環境)

話は変わるが、今夏より地方銀行(地銀)に新たな評価方法が導入される。

日銀が1月に打ち出した「マイナス金利」の影響をうけて、地銀を巡る環境は厳しい。貸出を業とし、利ザヤで商売をしている銀行は苦しく、のきなみ銀行関連株価は下落している。とりわけ、運用先が限られ、メガバンクほど海外進出していない地銀の経営は厳しく、地銀再編を促すきっかけになるとも言われている。

 

(地銀への新たな評価)

6月27日、金融庁は地銀の地域経済への貢献度を評価する新たな指標を明らかにした。金融庁は、地銀が地元の取引先の経営改善にどのように取り組んでいるか定量的に把握することで、地銀との対話を強化し、取引先の生産性向上を通じ、国の成長戦略の柱である「地方創生」につなげたい考えである。

具体的には、取引企業の経営改善実績や無担保融資実績等の50項目指標がベンチマークとして設定され、各銀行は「主要取引先の企業価値向上」「不振企業の経営改善」「担保・保証依存の融資からの脱却」という3つの共通目標の達成に向け取り組むことになる。またその進捗度合、実績は都度開示される。

 

(地銀への期待)

私は、このような動きを歓迎する。もともと日本の金融機関の貸し付けは、コーポレートファイナンスが基本で、企業が借入をするとき、企業全体の信用力を基礎に借入が行われ、担保や保証を基本としてきた。担保や保証がとれない場合は、対象企業が保険料を払う信用保証付き融資になり、金融機関は当然のことながら自身のリスクを極小にしようとする。地銀に対しては「担保や保証に依存している」「経営に関する助言や情報提供を期待できない」という厳しい意見がある。


当社も創業来、複数の地銀と取引いただき、お世話になっている。一方、当社はセントケアグループの中にあり、資金調達についてはいくつかの選択肢がある。それでも私は地銀との取引を大切にしたいと思っている。実は、私の地銀とのお付き合いは介護保険制度開始の2000年に遡る。当時全国の地銀を周り、ファクタリング(介護報酬債権買取)など地銀にとっての介護ビジネスの可能性についてお話しさせていただいた。以来なぜか、私は地銀に親近感を覚える。考えてみれば、介護は地域に密着した事業であり、地域の情報、地域からの支援、地域との共存共栄は不可欠なのである。

 

優良銀行と言われている静岡銀行では、地域内のビジネスマッチング、中小企業の経営指導や次世代経営塾、事業再生やM&A(企業の合併や買収)支援に積極的に取り組んでいる。(金融庁:金融仲介の改善に向けた委員会の資料より)

当社も取引銀行からいただいた提案がビジネスに繋がったケースがあり、大変感謝している。ただ欲を言えば、新しい資金調達方法である「クラウドファンディング」のように、地域や個人に根差し、メガバングではできない地銀ならではの、きめ細かでワクワクするような提案をいただきたいと思っている。

 

地銀の新たな評価方法は8月から始まる。ベンチマークが設定されると、全国でみれば「担保なし融資の比率を高めればいい」というような、安易な銀行もでてこよう。これを機に単に数値合わせではなく、地銀が提案力を高め、真に地域活性化の主体的役割を担うことを期待する。私どもにもビジネス提案をたくさんいただき、来夏の長期事業計画に何らかの形で反映できることを、私は楽しみにしている。

 

平尾雅司