福祉の街 社長ブログ

今私たち人間はAIから本質的なことを問われている

平昌オリンピックは日本人選手の活躍で大変盛り上がり、私はテレビの前に釘付けでした。みなさんは如何だったでしょうか。

ところで私は昨年11月、人工知能(以下AI)のベンチャー企業である「株式会社CDI」に移りました。当社最初の事業は、AIを活用して高齢者の自立を支援するケアプランを提案し、ケアマネジャーをサポートするものです。

 

(AIとは)

IT用語辞典によれば、AIは人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステムであり、もう少し具体的に言えば、人間の使う自然言語を理解したり、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするコンピュータプログラムなどのことをいいます。このAIを大きく進化させたのが「ディープラーニング」というものです。ディープラーニングはデータに含まれる潜在的な特徴をコンピュータがとらえ、より正確で効率的な判断を実現させる技術や手法です。以前は人間が特徴を判断するための基準を設定し、AIに教えこまないといけなかったのですが、ディープラーニングの出現により、コンピュータが自ら行えるようになりました。当社のAIもディープラーニングにより、加速的に成長しています。

このような当社のAIですが、この2月から「福祉の街」の大宮・東松山の8名のケアマネジャーにモニターになってもらい、さらなる進化のために意見をもらうことになりました。AIに関わって4ケ月、今感じていることを述べたいと思います。

 (人間の考え方が大事)

一つ目は、同じデータ(過去の経験)があっても、何を目標にするかによって、AIは全く違ったものになるということです。当社のAIは「高齢者の自立を支援するケアプラン」を目標に学習をしていますが、「介護する家族が楽になるケアプラン」「事業者が儲かるケアプラン」を目標にAIを学習させることもできるのです。そうなると、大事なのはAIを育てる人間の考え方になってきます。

以前ブログで、京セラ稲盛和夫名誉会長の哲学「人生・仕事の成果=考え方×熱意×知識」を紹介し、その中で「考え方にはマイナスがあり、考え方を誤ると、熱意・知識が大きいほどマイナスが大きくなる」と述べました。まさにAIの知識量は無限大の可能性があるわけですから、「何を目標として学ばせるか」という考え方を誤れば大変なことになります。

 

(人間の役割)

二つ目は、人間の役割の問題です。AIによりケアプアン作成ができるようになるとケアマネジャーがいらなくなるのではないか、と心配する声があります。私の答えは「NO=なくならない」です。その一番の理由は、AIが提案する自立支援のケアプランは、ICF(国際生活機能分類)で言えば高齢者の心身機能・身体構造のレベルであり、活動、社会参加レベルの自立支援の提案は人間であるケアマネジャーの役割と考えます。また健康状態のみならず個人因子や環境因子も組み合わせて、ケマネジャーの眼でみることも必要です。しかし、私はAIが提案する心身機能・身体構造のレベルのケアプランに関しても、その内容がなぜ自立につながるかをケアマネジャー自身が考えるべきではないかと思っています。

ケアプランの領域に限らず、現在のAIは大量のデータから相関関係を見出すのは得意ですが、因果関係を見出すには限界があり、そこは最終的に人間が判断する必要があります。またAIの提案が現実にそぐわない場合、もしくはもっといいプランがある場合は、人間がそれをAIに教え込むことにより、AIは成長します。そしてもっと大事なことは、何故と考えたり疑問をもつことで人間の思考も深まり、成長します。

勿論AIによってケアマネジャーの業務が効率化される面もありますが、だからと言ってAIから出てくるプランを何も考えないでお客様に提示するようなケアマネジャーはいない、と信じます。

一流の人は「問いをもって生きる人」、二流の人は「答えに従って生きる人」と言います。最近「AIの発達で消える職業」という類の記事が目につきますが、個人がAI時代に生き残れるかどうかは、職業によって決まるのではなく、人生や仕事に対する向きあい方が一流か二流かで決まります。


(私たちは問われている)

このように今、私たち人間はAIから本質的なことを問われているように思えてなりません。嬉しいことに、福祉の街の8人のケアマネジャーは私に忌憚のない疑問や意見をぶつけ、前向きな問題提起をしてくれる「一流のケアマネジャー」です。モニターが終わった頃、AIも8人のケアマネジャーも、そして私自身もさらに成長していることを楽しみにしています。

 

平尾 雅司