福祉の街 社長ブログ

3月・NHKテキストの季節

  3月になると、本屋で気になるコーナーがある。NHKテキストのコーナーである。英会話・フランス語などの語学に始まり、趣味、教養、娯楽。新学期・新年度を控え、このコーナーは希望に満ち溢れている。私もかつて学生時代、欲張って何種類もの4月号テキストを買い込んで挑戦したが、恥ずかしい話夏まで続いたことは一度もない。それどころかゴールディングウィークまで続けばいい方である。以降挑戦することを忘れてもう何十年となる。

  ところで先日、一人の所長から「私が推薦する本」を訊ねられた。司馬遼太郎「坂の上の雲」、夏目漱石「草枕」、姜尚中「悩む力」、ドラッカー「マネジメント」、「歎異抄」と、思いついた本の名前をならべる。 

 (生ものと干し物)

 私は仕事をしていく上では「生もの」と「干し物」をバランス良く採り入れ、吸収する必要があると思っている。「生もの」「干し物」という言葉は政治学者姜尚中さんが使われ、特に「干し物」の重要性を説いている。

  私にとって「生もの」とは、医療福祉市場に関わる知識・情報のみならず、医療福祉市場に影響を及ぼする政治・経済などの社会情勢、科学技術やSNSなどの新しい知識、人々の認識変化に関わるトレンド情報が当てはまる。これらの知識や情報は日進月歩で、常に新鮮な「生もの」が必要だ。

しかし、新しい知識や情報だけでは仕事はできない。仕事をする上では、物事を解決する智慧、そして決断する際の拠り所、すなわち価値観や考え方が必要となる。それらは歴史や哲学、そして古典教典といったような「干し物」から得られることが多い。「干し物」は古くても現代にも通用する普遍的な力をもっている。時には私たちが気付かない新鮮な視点を与えてくれるし、問題提起もしてくれる。介護看護の分野で言えば、ナイチンゲールの「看護覚え書」などもその一つであろう。私が推薦した本も「干し物」に属する。

 

(どのようにして手に入れるか~私の場合)

  「生もの」の入手は、新聞・雑誌や新書が基本であるが、やはりSNSをどう上手く活用するかである。仕事柄、私は紙媒体の「日経新聞」を宅配してもらっているが、最近娘に唆されて「日経電子版」に加入した。パソコン・スマートフォンでいつでも読めるのは勿論だが、キーワードを登録しておくと当該記事が自動抽出され、読み落としがなくなる。その上分野別にラベルを付けて整理保存しておくことができ、意外と便利である。記事内容や機能は制限されるが、無料版もあり、誰でも登録できる。私は他に「日経BIZアカデミー」や「ダイヤモンドオンライン」「医療介護CBニュース」にも登録している。

「干し物」の方は、NHKEテレの「100分de名著」を活用している。NHKの案内文をそのまま引用すると「一度は読みたいと思いながらも、手に取ることをためらってしまったり、途中で挫折してしまった古今東西の"名著"。この番組では難解な1冊の名著を、25分×4回、つまり100分で読み解いていきます」という番組である。まさに干し物を水で戻して食べやすくしてくれる。これまで番組に登場した本は、ドラッカー「マネジメント」、孔子「論語」、孫武「孫子」、兼好法師「徒然草」、ダーウィン「種の起源」、司馬遼太郎・・・ジャンルは多岐にわたる。これら名著を全文読み通すのは大変だが、番組を観ればおおよそアウトラインを掴むことができる。録画して観てもいいし、テキストのバックナンバーも揃っている。もっと理解を深めたければそれから原書を読めばいい。

 

 「生もの」にしても「干し物」にしても、自分なりに工夫しながら、メディアを要領よく使い分ければ、余り労することなく手に入れることができる。

このように、私もこの歳にしてようやくNHK教育番組を仕事に活かすことができた。今度はフランス語かイタリア語に挑戦してみようか。せめて夏まで続けて、いつの日かゴールデンウィークの壁を破ってみたい。 

平尾 雅司